第3回 〜バルコニーから見るもう一つの共用部分〜

2017.11.02

先日、栃木県行政書士会の日帰りバス旅行に行きました。

帰りの車中は全員で「夕焼け小焼け」などの童謡を十数曲合唱し、忘れていた「なつかしい」気分に浸れました。先生方はかなり飲んでいましたが、暗黙の規律があるかのように抑制の効いた紳士淑女の振る舞いがあり、最後まで参加者に楽しんでもらおうとする精神にあふれた「大人の集まり」だと感じました。

コラムの3回目です。

ひとつ屋根のマンションに全くの「他人」同士が穏やかな共同生活をおくるためには、住むうえでの約束事となる規約や総会の決議を守ることが義務となります。しかし、何%かの居住者は規約を読んでいませんし、総会で何が決められたかを知らずに生活しています。これらを背景に、理事会に持ちこまれるトラブルのほとんどが共用部分に関する使用やマナー、費用負担の問題です。

マンションは専有部分と共用部分という二つの部分で構成されていて、それ以外の部分は存在しません。厳密には共用部分は一つなのですが、規約上、運用上、生活上「二つの共用部分」が存在し、そのことが居住者にとってわかりにくい問題にしているのです。

(マンションは、3つの部分で構成されている)

★専有部分 自分の部屋(部屋から出ればそこは共用部分) をいいます。

★共用部分 専有部分以外の建物の部分で、不特定多数の人が使用することができる部分をいいます。

  例えば、建物構造部分・敷地・エントランス・駐車場

★専用使用権のついた共用部分

(わかりやすく、バルコニー等、と表現します)

この場所に接している部屋の居住者のみが使用することができる共用部分をいいます。

 例えば、バルコニー・玄関ドア・窓ガラス・窓枠、専用庭

ということで、専用使用権のついた共用部分はその部屋の居住者しか利用できませんから、

日々の管理責任と費用は所有者が負うことになります。バルコニーの場合は掃除、割れた窓ガラスの交換、網戸の張替え、玄関ドアの建具調整や扉内側の塗装、専用庭の管理が代表的なものです。

一方で、バルコニー等の防水や経年劣化による損傷は、他の共用部分と同様に管理組合の責任と負担で行い、修繕積立金から支出します。

3つの部分    日々の管理費用負担 計画修繕費用負担

専有部分           所有者       所有者

共用部分          管理組合      管理組合

専用使用権のつ    

いた共用部分   接する部屋の所有者      管理組合

しかし、いかに専用使用が認められているからといっても共用部分であることに変わりありません。特にバルコニーは勝手な使用を認めず、規約や使用細則で使用方法を規定しています。温室を作る、ストッカーを置く、庭園をつくる、アンテナを設置するなどです。

こうした使用が特に問題になるのは、多くのマンションでバルコニーが火災時の避難経路になり、玄関から共用廊下に逃げる以外のもう一つの避難経路とされているからです。基本的に居住者は上階のバルコニーから下階のバルコニーへ伝って逃げますから、ストッカー等の設置物は生命の確保に関わる問題になってしまいます。

或る管理組合の理事会で、バルコニーにおける「喫煙」を禁止する細則を新たに設けるかどうか検討に入りました。理事会では周知及び啓発にとどめるべきではないかと意見が分かれ、居住者アンケートをとり参考にすることになりました。結果は80%以上の方が細則の制定を支持したことで、理事会は援軍を得てすんなりと次期総会に禁煙を上程する予定です。

しかし、アンケートから浮かびあがったのは、①居住者の関心の高さ、②多くの「煙」被害者の存在、③専用使用権のある共用部分の認識の欠如、④ほとんど専有部分化したバルコニーの実態、かつ⑤他者を思い遣る意識、マナーの欠落、というマンションの厳しい現実でした。

ひとつ屋根のマンションに生活する他人同士が、どうやって他者と折り合いをつけ平穏に暮らすことができるのか?それは難問ですが、まずはマンション管理の専門家がどうしてアンケートまでバルコニーの現状を察知できなかったかを大いに反省すべきです。そして、バルコニー等の共用部分の使用に関する啓蒙活動を更に継続していかなければなりません。

居住者においては、自己を抑制すべきところは抑制し、他者に寛容になるべきところは寛容となり、マンションを「大人の集まり」化していくことが重要であると思っています。

マンション管理士・行政書士白寄和彦事務所
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