第7回 理事会で決議されているか?

2017.12.10
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7回目のコラムとなります。

たぶん今年最後のコラムになると思いますが、堅い内容にも拘わらずお付き合い下さいまして感謝申し上げます。

来年も仕事(マンション管理士・行政書士)に、コラムに、頑張りますので宜しくお願い致します。

12月はじめ会社の同窓会があり、メンバーの一人の発案で「今までで人生最良の日はどんな日であったか、またその理由」を各人が発表することになりました。なぜか近頃昔の仲間が集まると「振り返る作業」が多くなったように思われ、少々げんなりしていますが。

実は、私には「感動で体が震えた日と最高に楽しかった日」の忘れることができない記憶があって、やっぱり、これに優る最良の日はなかったと、自分が発表する段で改めて確信しました。それは、大学入学式の日の長女の立振る舞いを見たときの興奮であり、次女と過ごした父親参観日の充実した一日でした。当時、子育てにほとんど関与しなかった自分への過分なご褒美だと、妻や子供たちに感謝したものです。

同窓会は笑いに満ちて盛り上がりつつも、感慨にふける者あり、後悔や愚痴をこぼす者ありで、これまでとは雰囲気の違う、多分に「しょっぱさ」の残るものとなりました。

7回目のコラムも、私がマンション管理の核心と呼んでいる理事会をテーマにしたいと思います。

最近私が出席した都内マンションの理事会で、時間を十分にかけて審議したにもかかわらず理事の意見を集約することができない議案があります。それは、マンションの機械式駐車場の空き部分を居住者以外の第三者に有償で提供する、いわゆる外部貸出しです。

元来マンションの管理組合は営利団体ではありませんから収入源は限定されていて、数少ない事業収入の柱が管理組合と居住者が契約して得られる駐車場収入です。マンションの分譲業者は、駐車場契約率を一律60%〜80%で見込んで管理組合の収支計画を策定していますが、あくまでも予想に基づいていますから、現実とのかい離は当然に起こってきます。

なかには、管理費等を低めに見せたいため、はなから無理な稼働率を設定する不心得な分譲業者がいるくらいです。

収支計画の狂いは管理費や修繕積立金に大きな影響を及ぼします。駐車場収入を当初の計画に近いところまで回復させたいと願う理事は、駐車場の稼働率が高かろうが低かろうが点検維持費用は同じであり、居住者の利用がこれ以上見込めないのならば「外部貸出しを検討せざるを得ない」と主張します。

これに対して外部貸出しに反対する理事の主張は、

①関係者以外の不特定多数の人の出入りを許して、セキュリティーは保てるか?

②不慣れな外部使用者が他のパレットに駐車したり、ルール無視で、トラブルが発生しないか?

③外部貸出しが結果としてマンションの資産価値を毀損し、再販価格に影響しないか?

というのが大半で、これらの懸念は至極もっともなことだと思います。

理事会の議論は中途から白熱しましたが、賛成する側は組合の先々の組合財政を心配し、反対する側はマンションの当初の価値を保全しようとするわけですから、相互の真剣な議論は傍聴する私にとって心地よく、非常に健全なものに思われました。

理事長は、某メーカーの監査役を長年勤められたということで、討議の順序だて及び討議の進め方が計算されていて場慣れしている感じです。また、ご自分の考えは他の理事に周知されていますが、それが一方に有利に働かないように配慮していて、議長として最後まで公平に議事を仕切っていました。

文句のつけようのない理事会でしたが、私の方で一つだけ提言させていただきました。

それは、

①理事会でどの議案が決議されたのか、何が決議されずに次回に持ち越しになったのか「採決」が行われていないので明確でない。

②結果としては、翌月に組合員アンケートを実施することや駐車場のサブリース会社と勉強会を開催することが理事の総意で決定したようになっているが、「採決」がなくとも決定と呼べるのか。

③理事会において、一言も発言しない女性理事がおられましたが、「採決」をしないで、理事会は彼女の意思を確認したと言えるのか。

確かに、参加者が自由に討議できる環境にある理事会において、あえて採決のような儀式ばった手段を採らなくとも、という意見があるのは承知しています。

しかし、たとえ少人数の理事会であっても衆議を決するためには、正式な手続を省略するのは危険です。

思わぬ時に、思わぬ所から「決議無効」の鋭利な矢が飛んでこないとは言えませんから。

必要な原則は「習慣」にしてしまうことが一番です。

議長(理事長)⇒「議論は尽くされたと思いますので、只今より採決に入ります。議案に賛成の方は挙手をお願いします。賛成多数により議案は可決されました。理事会の決議事項と致します。」 こんな感じでお願いします。

私は仲間内から「原理主義者」と揶揄されることが度々ありますが、これからもあえて原理原則を直言していこうと思っています。TPOをわきまえつつ!

マンション管理士・行政書士白寄和彦事務所
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