第9回 危うくないか!修繕積立金改定プラン その2

2018.01.18
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閑話休題、さきほどの都内のマンションな場合、16年目以降の修繕積立金の額(679円)は、当初5年間(160円)の4.25倍です。また、16年目以降の15年間に支払う修繕積立金総額(975万円)は、1年目から15年間に支払う総額(466万円)の2.1倍になっています。

1年目〜15年目までで ⇒ 466万円

16年目〜30年目までで ⇒ 975万円

私は段階的積立方式を全面的に否定しているわけではありません。ただ、この改定計画は国土交通省がガイドラインで均等積立方式が望ましいと示しているにも拘わらず、それを無視し、それに挑戦するかのように段階的積立方式の弊害を際立たせています。修繕積立金の性格とはかけ離れた増額幅になっていることが問題だとしているのです。

更に31年目でもう一段の増額が予定されるかもしれません。それは、31年目以降に電気設備や給排水設備等の更新(交換)工事が目白押しで予定されているからで、これらは高額です。

例えば、受電設備(キューピクル)や自家用発電設備の更新工事、排水管更新工事、給水ライニング鋼管の更新工事、ガス管更新工事、避雷針更新工事等で、ご紹介したマンションでは約4.500〜5.000万円を一般修繕工事と別枠で予算化することになるでしょう。更新工事の原資は当然に修繕積立金の増額分です。

他にも修繕積立金を増額せざるを得ない要因があります。とりこし苦労かもしれませんが、それは、東日本大震災のような不測の事態が起こり、予期せぬ原状回復費用が発生する場合や、新たに消費税の増税が行われる場合などです。あり得ない話ではないと思います。現に保険でその何割かを補填するため、火災保険の更新時に地震保険を付保するマンションが急速に増えてきているではありませんか。

上記の増額要因を考慮して31年目以降の修繕積立金の額を算出したならば、その額はいかほどになり、当初5年間の額の何倍になるでしょう。シミレーションしてみると、事例のマンションは専有面積81㎡が最多でしたから、約9万円超(7倍)になってしまいます。

分譲会社が示した「童話のキリギリスのような」段階的改定プランを鵜呑みにして、このまま放置しておくと、60歳代後半からの年金受給生活でこんな金額を負担しなければならないことになってしまうのです。

管理会社は分譲会社の系列下にある会社が多く、このような改定計画にいち早く気付いていても、親会社に「もの申せず苦言を呈することなく諾々と」管理業務をスタートいるのが現実です。理事会で話題にすらならずに!彼らの縦社会における難しい立場はよく理解できます。

しかし、昨今管理会社の業務は日常の管理業務にとどまらず、マンション管理適正化法の施行以来、マンションの将来を見据えて管理組合に助言、提言を行うコンサルティング業務が加わっているはずです。管理会社は業務を委任してくれる管理組合のために、是々非々で行動すれば良いのです。

この際、早期に長期修繕計画の基準を一般的な30年から50年に設定し直して、31年目以降から予定される各種更新工事や36年目に行われるはずの大規模修繕工事の費用を盛り込んだ長期修繕計画書を作成して、管理組合に改めて提出してほしいと思います。

求められれば、厭わずに各種シミレーションも提出すべきです。これらも、管理会社が長期に培ったノウハウを生かして、甘えを排したシビアなものを提出すべきだと思います。また、求められれば親会社に忖度することなく、マンション管理のプロとしてまっとうな意見を述べるべきです。

それが、「自分たちのマンションのまっとうな修繕積立金はいくらなのか?」を、「今からでも均等積立方式の採用は可能なのか?」を管理組合が真剣に検討する契機となるようなものでなければ何の意味もありませんから!

マンション業界ではサスティナブル(持続可能な様)というと、何か居住者間のコミュニケーションが行き届いて、住み心地の向上や災害時の共助を目的に、「ふれあい」中心のイベントを企画し参加を促すことと考えているようです。

それも、他人同士との区分所有関係を持続可能にしていくためには大事なことだと思います。

しかし、多くの区分所有者は、まずは、マンションに安心して永く住み続けられるという経済面での「自信」の確立を願っています。そのための仕組みを作れるよう、分譲会社や管理会社に力を貸してほしいと願っているのです。何度も言いますが、販売ありきの「危うい」修繕積立金改定プランのうえに、サスティナブルなど構築できるわけがありません。

マンション管理士・行政書士白寄和彦事務所
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