第14回 反省とペットクラブ

2018.04.19
コラム画像

私事ですが、この度3月末をもって退社いたしました。(退社といっても顧問でしたが。)

箱根を含めて度々の送別会を催してくださって、マンション管理の戦友たちに厚く御礼申しあげます。一生の思い出となりました。

グランドメゾンにおける管理組合の要求レベルは高く管理会社にとっては厳しく辛いものがありますが、でもそれは組合員の貴方たちに対する期待値が高い裏返しだと思ってください。その期待に応え、的確に要求をクリアしていくことが、ブランドマンションに係わる者の宿命だと覚悟して逃げずに立ち向かってください。

そして、管理戸数を競うマクロ的管理会社とは「異夢」の、希少価値と言われるようなオンリーワンの管理手法を構築してください。住み替え頻度の高いブランドマンションの区分所有者は、その違いを敏感に感じ取り貴方たちを評価して、最終的には貴方たちを守ってくれる存在になりますから!

また、デベロッパーの仕事に携わる社員は管理会社の声(叫び)に真剣に素直に耳を傾けてください。管理会社に自分たちの尻ぬぐいなどさせず、最後まで自己の責任を果たしてください。伝統的「販売ありき」の姿勢はもうそろそろ改めるべきです。両社の真の連携を見たいと思いますので、どうか宜しくお願い致します。

またお説教になってしまい申し訳ありません。

自分がアドバイスした内容を暫く引きずっていたのですが、今では猛烈な反省に変わってきています。

3月の初旬、成城学園駅からほど近い340戸のKマンションの理事会に出席しましたが、理事会のメンバーに謝らなければなりません。審議が順調に進捗した理事会の終盤に、複数の女性理事からペットの愛好者の集まりを企画したので、マンションの掲示板を利用させてもらい告知したいとの提案があったのです。皆さんご存知のように、マンションの掲示板は通常管理会社からの定期的な連絡事項や居住者への注意を呼び掛けるために利用されています。理事長やフロント担当者がちょっと困ったような逡巡する態度を示して私の方を振り返ったので、自分の出番と見定め私見を述べさせていただきました。

「掲示板の使用方法について規約や細則で定めてはいませんが、掲示板はマンションの共用部分に関することや居住者の共同の利益に関すること、及び管理組合や自治会に関係することなどのために供されるものと一般的に認識されており、このことは区分所有者の方々の暗黙の合意が得られているものと承知しています。マンション内の一部の居住者が趣味のグループを作ったからといっても、そのために掲示板を使用することは以上の理由からできません。」

続けて、

「また、今後も同様の申し入れがあるものと予想されますし、掲示板をめぐるトラブルを未然に防ぐためにも、掲示板の使用については理事会の決議マターであること、掲示と撤去は担当役員の指示を受けた管理会社のみが行えることなどを居住者にお知らせしておいたほうが良いと思います。」

理事長や他の役員は合点がいったようでしたが、女性理事たちは残念がって、かつ納得がいっていないことは明らかでした。彼女たちは掲示板による告知を事前に愛好家の間で決定していて、よもや理事会で反対されるとは予想もしてなかったのですから。その辺の事情は出席者にも容易に察することができ、微妙に苦い後味感が理事会に漂いました。

私はすでに後悔をし始めていました。私の助言は杓子定規すぎてはいなかっただろうか。女性理事たちの申し入れに対して、結論は出ないにしても、彼女たちと一緒になって代替案を検討するような姿勢を理事会が示してもよかったのではないか。その方向に理事会を自然に導いて行くのが管理会社の役目ではなかったか。

さらに重要なことは、はたしてペットの愛好家の集まりは一部の居住者の趣味のグループと矮小化してしまってよいのだろうかという疑問です。ペットに癒されペットが生きがいとなりペットが家族において重要な位置を占める居住者が増えつつあるなか、その分動物が苦手な方やアレルギーをお持ちの方も相当数おられるはずです。ペット問題が居住者間のトラブルの上位になっている昨今、飼育者のマナーの向上とペットを飼っていない居住者への配慮は直接的に居住者の共同の利益に係わってくることではないか。

先進的な多くのマンションでは、ペット愛好者の集まりを「ペットクラブ」という名で管理組合の正式な専門委員会的存在に進化させています。理事会との連携が重要なため、会長には理事の1人に就任してもらい、ほかの役員は会員の中から1年ごとに輪番制で選出し運営されています。マンション内での飼育者は当然にクラブに全員加入することが必須条件です。活動内容はマンションごとに様々ですが、会員名簿の作成と更新、予防接種の確認、玄関先にペット飼育を告知するために貼る会員シールの配布、会員への注意喚起と啓もう活動、そしてペットを飼育していない居住者からのクレーム対応等はクラブの基本行動としているようです。さらに情熱的なクラブでは広報誌を作成して、ペットが家族と写真付きで紹介されており、私も拝見したときは微笑ましく感動いたしました。

優秀なマンション管理士であるならば、Kマンションの女性理事たちの申し入れに対して、居住者の共同の利益に資する「ペットクラブ」に発展させて設立する意義を他のマンションの成功例を紹介しながら話をすることができたでしょう。これは今後のことですが、もし二人の女性理事にその中心的な役割を担ってもらえたら、理事会が設立に向けて審議すべき議案としてもらえたらアドバイスをした甲斐があったというものです。

未熟な私はペット愛好者の集まりを単なる一部の趣味グループと断じて、私の助言は掲示板の利用にとらわれ終始してしまいました。これではマンション管理士として失格です。

「反省だけなら猿でもできる!」と戦友たちが笑っていることでしょう。

マンション管理士・行政書士白寄和彦事務所
〒329-0434栃木県下野市祇園5-24-9 TEL/FAX:0285-40-6237