第19回 マンションでパワハラ その1

2019.01.07
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新年、おめでとうございます。

今年は頑張って、月に1度のペースでは書きたいと思っていますので、宜しくお願い致します。

二人の娘夫婦や甥っ子たちとにぎやかな年末年始を楽しく過ごすことができました。

ただ、現役のサラリーマン・ウーマンの奮闘ぶりを聞いているうちに、自分が会社に在籍していた頃がよみがえり、何かやり残したことにハット気づき若干寂しい気分になったことも事実です。

大切な忘れものほど帰って来ませんから、新しい代わりのものを手に入れるしかないのです。

今年最初のテーマはマンションのパワハラです。

マンションの最上階に住むご婦人Aが管理事務室を訪れたのは、午後1時を過ぎた頃でした。

この中央区T町の億ションでは3人の管理員(男性2人・女性1人)さんがローテーションを組んで重層的に業務に当たっています。

この日の時間帯の担当はM管理員です。

Mさんに、Aさんが気づかない程度の緊張が走ります。

このご婦人が少々苦手です。

また、ご婦人の夫は同マンションのデベッロッパーである大手ハウスメーカーS社の社長(当時)ということで、M管理員はグループ子会社である管理会社の重役からマンツーマンで熱い個別指導と警戒要請を受けていました。

重役が指導と要請を行った真意は、社長夫妻が自社の販売したマンションに居住するという微妙な立場を気にしているというよりも、ご夫婦の言動によっていつ起きるかもしれない「騒動」への警戒心・恐怖心そのものであったようです。

なぜなら、ご夫婦共におっとり穏やかで人に寛容というタイプではなく、思ったことをすぐに口にしないと気が済まない性格でTPOに欠けることがグループ各社でも評判で、実際重役も過去にご主人(社長)との間で苦い経験があるからです。

ご婦人の用件は、リビングの椅子を処分しようと思うのだが、古いわりに椅子にはほとんど傷が無く、廃棄するのはもったいなくて忍びない。座り心地がとても良いので、管理事務室で使って頂いたらと思うので夕方取りに来てもらいたいというもので、ご婦人は満面の笑みを浮かべておっしゃるのでした。

M管理員は、はたと困惑してしまいました。

親しくなった居住者から帰省土産等を頂くことはありますが、家具の差仕入れなど経験がありません。また、管理事務室が管理組合の財産で共用部分であるのと同様に、管理事務室内の備品もまとめて共用部分であるのです。

管理組合は、委託している管理会社に管理業務を行わせるために必要な管理事務室、倉庫、器具、備品などを無償で貸し出していることになります。

いかに受付業務の利便性に資するとしても、このような性質の管理事務室内に管理組合の承認もなしに私物(椅子)が設置されるようなことはあり得ません。

それに、ただでさえ狭い管理事務室で人の動線をなるべく確保しようとしたら少しでも備品群は減らしたいのが本音です。

M管理員は、謝意を表しつつも勇気をもって、上記の原則や事情をご婦人のプライドを損なわないように丁寧に説明して申し出をお断りしました。

それに対してご婦人は話に納得し、快く申し出を引き取ってくれて、その場は何事もなかったかのような雰囲気でした。

M管理員は胸をなでおろしつつ、マニュアル通り早速担当のフロント社員を捕まえ、ご婦人とのやり取りを詳細に報告したのは言うまでもありません。

フロント社員からは、咄嗟の冷静な対応が求められるシチュエーションにも拘わらず「全く瑕疵のない」内容であったと褒められたそうです。

しかし、管理会社の重役がご婦人宅へとりあえずお詫びに駆け付け、M管理員への事情聴取が始まったのは翌日の午後からでした。

ご婦人が放ったクレームがご主人(社長)を通して瞬く間にマンションの販売部署の長や管理会社の社長を襲ったからです。

以下次回へ

マンション管理士・行政書士白寄和彦事務所
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